喘息などのアレルギー疾患が悪化するメカニズムを解明~脂肪分解経路を標的とした新たなアレルギー治療薬の開発に向けて

2025年10月25日

研究?産学連携

 188比分直播,足球比分网大学院医学研究院 平原 潔教授と横浜市立大学大学院医学研究科 金子 猛教授、柳生 洋行助教(研究当時:188比分直播,足球比分网大学院医学薬学府 特別研究学生)らの研究グループは、アレルギー性炎症を悪化させる「病原性Th2(ティーエイチツー)細胞」注1)が、免疫細胞が持つ「脂肪滴を分解して再利用する仕組み」によって誘導されることを明らかにしました。今後、脂肪分解経路を標的とした新たなアレルギー疾患の治療法の開発が期待されます。
 本研究成果は、2025年10月24日に、国際科学誌Science Immunology に公開されました。

用語解説

注1)病原性Th2細胞:Th2細胞は、免疫の司令塔となるヘルパーT細胞の一種で、特に寄生虫に対する感染から体を守る。一方で、アレルゲン(ダニや花粉など)に対しても反応し、炎症を引き起こす物質(サイトカイン)を分泌する。このTh2細胞の中でも一部の集団が病原性Th2細胞となる。病原性Th2細胞は、アレルゲンを記憶して炎症組織に長くとどまり、再びアレルゲンを感知すると多量のサイトカインを分泌し、通常のTh2細胞よりも強い炎症を引き起こす。喘息などのアレルギー疾患の慢性化や難治化に関与する。

■論文情報

タイトル:Lipolysis–microlipophagy cascade regulated by adipose triglyceride lipase drives pathogenic adaptive type 2 immunity
DOI:10.1126/sciimmunol.adp0849

  • 図:脂肪分解経路が病原性Th2細胞を誘導する

    図:脂肪分解経路が病原性Th2細胞を誘導する